私さがし
4月の中旬あたりにレコーディングしました。この時期にリリースできるとは思っていませんでしたが最新の作曲です。“曲を作るゾ!!”と久しぶりに気合の入った作業でした。
どんなに言葉を尽くしても、今の自分の気持ちを言い当てることができなくて・・・。反芻できる日が来るまで、とにかく前を向いて進むだけという気持ちを描いてみました。そうできればきっとこの歌の主人公は、一筋のきれいな涙を流せる素敵な女性に成長できそうな予感がします。
意気地のないことを言っても温かく包み込んでくれそうな音色に誘われてこんな詞になりました。サウンド面では、素朴でストレートにメロディーが届けばいいなと思いながら制作しました。みっちり2日かけて歌入れしたのは初めてでしたね。
今、私の中ではソフトなロックブームが再来していまして、今回のこの曲を選んだのもそれを意識してのことでした。朴訥とした奇をてらわない音色が奏でるメロディーラインを、ゆったりと味わってもらいたいなと思っています。
―――歌詞からいろんなイメージが湧き上がってきますが?
小松:作詞ってこんなに難しかった? と思うくらい(笑)、シンプルな音に合う言葉探しにかなり翻弄されました。でも出来上がった作品を聴いてみて、ありきたりな言葉が一番心に届くものなんだと改めて実感できましたので、これからはクセになりそうです(笑)。
―――今回一番伝えたかったこととは?
小松:タイトルになっている「私さがし」ですね。この詞の世界と状況は違っても心境は同じで、私も私をさがしている途中。いくら詞を書いても、迷っている自分は拭い去れませんでしたから。
思いが届かなかった原因を突き詰めていくと,最終的には自分自身を見つめなおす作業をせざるを得ないような気がします。また同じ原因でダメにしてしまわないためにも,一度立ち止まって反芻してみる作業はとても大切。どんな場面に遭遇しても,逃げないで解決しようとする姿勢が,幸せをつかむ第一歩をもたらしてくれるんだと信じています。
―――最近の小松未歩さんの歌詞は「私」という小さな世界だけでなく「人間」という大きな世界で受け取れる内容が多くなっているような気がしますが?
小松:描きたいと思う対象がコロコロ変わるので、意識した結果じゃないのが残念です(笑)。突っ走っているだけでは見えていなかった心の微妙な動きなんかに最近は気付けるようになったのかな・・・。
―――今までだったら描けなかった?
小松:そうですね。作品はいつも「今の私だからこそ描けた世界観」という尺度で制作していますから、まだまだ描けていないことでいっぱいですね。でも今回みたいに勢いだけで説き伏せることができない作詞はプレッシャーが大きい分、出来たときの達成感はズッシリきますので描き甲斐があります。
私をさがすという行為そのものが人生だと感じている私にとって、楽しみながらさがせたらいいなという理想はあります。でも長所だけじゃなくて欠点も認めないといけませんから、私さがしは一喜一憂の毎日ですね。
―――小松未歩さんの“私さがし”はかなり進んでいますか?
小松:今は・・・揺れてますね。軸が定まっていない感じがします。でももともと感化されやすい性格なので、注意力散漫なのにはもう慣れました(笑)。これから先の人生で、何が起こるかわからない現状を考えると、グラグラしても仕方ないかなとは思いますけど。
最初はファルセットを駆使した柔らかいヴォーカルで仕上げていたのですが、詞があまり伝わってこない気がして、もう一度レコーディングをし直しました。まるまるゼロからやり直すことはあまり今までにない作業だったので勇気はいりましたけど、飽くなき追及はしないと(笑)。
―――今までのクールな小松未歩さんからだんだん温かみが出てきた気がしますが、小松未歩さんのモードとして何かはっきりしていた変化はありますか?
小松:うーん、私の声やメロディーに合う音色を追求していった結果でしょうか。でも、この曲調に落ち着くというわけではなくて、まだまだ模索中です。今好きな音がロックやポップスに帰ってきているので、自ずとその色調は出てしまいますけどね。