mysterious love
ドラマティックな構成と耳に楽しい言葉遊びを意識しながらの制作でした。
メロディーを作るときに、男性ボーカルをイメージして作曲したんです。それを徳永暁人さんが、原曲のイメージを良い意味で壊してくれているアレンジに仕立ててくれて。今回、コーラスでも参加していただいたのですが、男性コーラスが入って、詞の恋愛模様よがり意味深長に響きだしたように思います。
地に足がつかない! ブレーキが利かない! そんな気持ちは人生の中でもそうそう体験できることではありませんから、突き進んでいいんじゃないでしょうか。ボーカルも力強く、ハイトーンの部分が強く出るマイクを選択して、勢いに負けないよう、初めてクリックを聴きながら歌入れをしました。
ちょうどリミックスアルバムの音源が集まりだしたころに、「mysterious love」の制作を開始したので、過去のシングルに感化されたところはあるかもしれません。作品をひとつずつ聴いていくと、やっぱりその時々のさまざまな思いが湧き上がってきたりして、それが素直にこの曲に反映されたような出来栄えです。
勢いはどちらかというと、アレンジに引っ張られた感じです。構成からすべてアレンジャーさん主導ですので、徳永さんの色がかなり出ているのではないでしょうか。
アレンジを聴いた時に、「私の声に合うのかな」とちょっと不安な部分もあったりで、「このカッコ良さを壊さないように」と思いながらマイクを3本ぐらい試しつつ、いろいろ調整してもらって慎重にヴォーカル録りをしていきました。
―――アルバムの取材のときに、5枚目ということで1つの区切りがついたと言われていましたが、その次のシングルは、何か気持ち的に違いはありましたか?
小松:そうですね。リミックス集を作ったことで、やっと作品を1つにまとめられたっていう充実感もありましたし、原点に戻ったといいますか、ワクワクしながら音を作っていけました。なので作品だけじゃなくて、気分的にも一区切り出来たように思います。たぶんスタッフも同じ気持ちなんじゃないでしょうかね。この作品に取り掛かったときの充実感や団結力に、今まで以上のパワーを感じられましたから。一回仕切り直したことで、また改めて全力を注げる環境が作れたと実感しています。
―――初期の雰囲気は漂いつつも、17枚作ってきた小松未歩さんとしての部分も出ている。そこがいいですね。
小松:気持ちは新鮮なままで、でも積み重ねてきたものは全部開花してほしいと思っています。原点とは言っても5年前とまったく同じではありませんから「一歩一歩、歩んできています」みたいなところがちゃんと出てくれなければダメだとも思いますし。
―――歌詞では今回何か意識されたところはありますか?
小松:好きになっちゃいけないのに好きだったり、気持ちってコントロールが効かないじゃないですか。突然であった人にフッと恋に落ちてしまうとか。恋愛って頭で考えてみても絶対にわからないものですから。もちろん相手の気持ちも難解中の難解ですしね(笑)。すべてがミステリアスです。
―――そのとめようがない気持ち、というのがすごく伝わってきます。
小松:強調したいと思っていたところは、まさにその“止まらない”という感じ。今回はアレンジを聴いたときから、言葉遊びをしてみたいと思っていましたので、ストーリー性を打ち出すというよりはノリを重視して描いてみました。メロディーに乗る、耳に楽しい言葉を選んだつもりです。
―――収録されている3曲ともアレンジャーさんが違いますが、これは小松未歩さんが出されたアイデアなのですか?
小松:たまたまなんですよね(笑)。でも、強いて言うなら5枚目のアルバムのときにいろんな方に頼んでみようという方向には進んでいましたので、今回のシングルで実を結んだ気分にはなっています。
「こんな風に」とかあえてリクエストしなかったことで、それぞれのアレンジャーさんが持つ小松のイメージがよくわかるものでした。小松"らしさ"というのも漠然としている表現なんですけど、レコーディングしていると心地よく歌える音って、やっぱりあるんですよ。それがすべて良い方に流れて17枚目のシングルになったという成果が"らしさ"なら、もちろん「うん」と大きくうなずける"らしい"素敵な音でした。