INTERVIEW


小松未歩8 ~a piece of cake~

いつも日差しがホワッと当たっている、温かい空間で過ごしてきた印象です。こんなに穏やかな制作期間は、今までに経験したことがなかったように思います。


―――常に良質な作品を生み出し続けていくためにどのようなことを意識されていますか?

小松:最大の原動力は、なんと言っても聴いて下さる皆様からの温かい声援・・・に尽きますね。そこに支えてくれるスタッフさんの寝ずの番があったり(笑)。ホントたくさんの方々に力を頂ながら、ギリギリでやっとリリースさせてもらっているありがたい状況です。


季節、気分、時間帯などのちょっとした変わり目に遭遇するだけで「あぁ、歌いたい」と思う曲がやはり違ってきますので、その気持ちの変化を汲み取れるアンテナを常に張り巡らせるようにはしています。


―――アルバム制作に向けて何か意識されたことは?

小松:季節感はストーリーが進んでいく上では欠かせない要素となって、自然に入り込んできますね。このお仕事をしていますと、3ヵ月先や半年先を感じるクセがついてきますので、擬似的な感覚は制作中に何度も体験している気がします。


―――8枚目の今作にはどういう気持ちで向かわれていますか?

小松:「気力、体力のバランスが一番良い中でのアルバム作りなのでは」と感じています。“8”の末広がりにかけて、希望あふれる作業に没頭したいですね。

―――現在まさに制作中ということですが、制作のテンションは今どんな感じですか?

小松:今は焦りだけですけど、テンションは収録されるシングル曲あたりの制作時期からずっと穏やかで、物作りの楽しさを味わいながらじっくり作品と関わってこれたかなぁと思います。


昼下がりのティータイムに「ちょっと流してみようかしら」というふんわりとした雰囲気に仕上がってる予定です。


感情を剥き出しにするような激しい気持ちというよりはジワッ心に染み渡るような流れを作っていきたいですね。


―――「a piece of cake」にはどのような思いを込められましたか?

小松:ケーキのホール買いって、私にとってはtoo muchな特別な日という感覚があるので手が出ませんけど、ちょっと食べたいなぁと思うと、1つだけ好きなものを選んで買ってこれるその気軽さと、ケーキを買うときのちょっとした異空間にいざなってもらえるあのウキウキ感がたまらなく好きなので、真心を込めて作ったアルバムがそんな存在になってくれたらいいなぁと思って、このタイトルをつけました。


―――音楽制作の中で「楽しい!」と思うのはどのようなときですか?

小松:制作の真っ最中は大変ばかりが私を支配していて苦しいのですが、そんな中でも楽しいなと感じるピンポイントは、コーラスワーク中に素敵なハーモニーに出逢えたりしますと、スタッフさんそっちのけで「良いわぁ、楽しいわぁ」って1人でウキウキしてしまいます。


―――音楽以外ではどのようなときに「楽しい!」と感じられますか?

小松:ちょっとしたことでも楽しいと感じられるタイプなので、数え上げたらきりがないんですけど、この前とてもかわいい帽子を見つけまして、それに合わせて前髪を切りそろえながらこれからの季節を迎える準備をしているときに、テンションがグンッと上がってましたかね。


―――今作を色で表すと何色ですか?

小松:ふんわり柔らかい、甘い匂いがしてきそうなオフホワイトでしょうか。ホイップクリームのイメージです。


今回もスタッフ一丸となって作りました。この~a piece of cake~を気軽にご賞味頂けたら幸せです。

SELF LINER NOTES

01.蒼い夏
情景が鮮やかに広がってきて、ドラマを観ているみたいに「次はどうなるの?」って感じでドキドキしながら描いていました。でも残念ながら男の子の顔は見えなかったんですよね。


02.deep grief
可愛く恨み節を歌うつもりが、作りながら涙が溢れてしまうくらい抑えきれない感情がガッと盛り込まれてしまいました。字余りっぽい歌い回しが、私的には新鮮で心地良かったです。


03.恋になれ...
恋の予感はいつも突然で、相手の気持ちも分からずに勝手に走り出してしまうから不安もいっぱい。別れ際の彼の笑顔を反芻してみたり・・・結構乙女チックなところがあったりします。


04.my darling
ピアノを弾いていたらサビのメロディーがポロリと出てきて、楽しいリズムに乗っかって作詞も一気にしてしまいました。身振り手振りで身体を動かしながら歌ってみたい曲です。


05.はるのきおく
行進したくなるテンポだったので、思わず高校の頃の記憶が蘇ってしまいました。卒業の日に「この桜並木も最後だね」なんて。春、桜といえば、この頃の景色が浮かんできます。


06.神様はジッと見てる
ズルしてその場を凌いだつもりでも、後でそのツケは必ず回ってきて・・・。絶対に神様はジッと見ていると思うんです。でもその戒めのお陰でちゃんと生きていけるのでしょうけど。


07.あなた色
この頃の気分が8thアルバムのトータルの印象に近いように思います。甘くてポップでふわふわしている感じ。女の子の大好きなものを集めたような曲にしたいと思っていました。


08.I just wanna hold you tight
ジャケットを見る度に寒さに震えながら撮影していたことを思い出します。何度も作詞をし直したのですが、いま優しく響いてくれているということは・・・苦労が報われた気がします。


09.不機嫌になる私
提供させて頂く前に歌ったのですが、岩田さんに申し訳ないほど難しい曲で、私自身が歌入れに苦戦しておりました。今回はギターがジャンジャカ鳴るRock調で収録しています。


10.向日葵の小径
c/wとして収録した時も、ずっとリピートして聴いていたくらいでしたから、やはり今回も入れてしまいました。未だにこの小径は、夏になるとたくさんの向日葵が咲いています。


11.アナタノ手
人の温もりはズシンッと心に残るもの。何気なく触れたつもりでも、そこはずっと温かくて、愛しくて・・・。やっぱり私は肝心なときに強がってしまう可愛くない性格なのでしょう。


12.涙のあとに
ここから始まる。これは作品に取り掛かる時に感じるいつもの心境です。涙を流すことしか出来ない私でも、あなたが居ると、涙は次へと向かえる希望の雫にしてもらえるようです。