小松未歩7 ~prime number~
こんな小っぽけな私を7枚という道へ導いてくださり本当に本当にありがとうございました。みなさんと歩んできた日々がカタチになっていく喜びは筆舌に尽くせませんが、このアルバムに詰めこんだ今の私のすべてを感じ取ってもらえたら嬉しいです。
なによりも7枚目のアルバムをリリースできることに特別なものを感じています。デビューしたときには想像もしてなかったこの道のりを一緒に歩いてくれた皆さんにいち早く報告したい音。そんな気持ちで望んだ私を感じてもらえたら嬉しいです。
7枚目だから「特別に」という余裕のある制作スタイルには結局なりませんでしたが、今まで歩んできた私にできるすべてで表現してみようと四苦八苦していました。それが結果的にはこのアルバムへとつながったので、これまでの歩みを披露できる場になったような気はしています。
ゆったりとした気分でメロディーや色や匂いを感じてもらえるよう「物語性のあるアレンジに具体的な言葉を」をモットーに今までお見せしたことのない一面を覗かせてみたいとチャレンジしていました。
―――今回は「lyrics」以降初のオリジナルアルバムですが、その意味で何か違いはありましたか?
小松:その時に好きと感じた音を今すぐカタチにしたい願望も強くなりましたし、スタッフさんに助けられながらも自分を信じて、かなり鮮明なイメージを持ちながら作業に入れるようになりました。
―――タイトルの「prime number」はどんな思いから?
小松:7thまでの道のりを一緒に歩んでくれた「みなさんと私とでしか分かち合えないアルバム」になったので、1とその数字自身でしか割れないのが“素数”という素敵な響きにあやかって「prime number」と名付けました。
―――「prime」には「最も重要な」「最良の」「極上の」といった意味もあるようですが?
小松:辞書で調べたときに初めて私もそんな意味があると知って(笑)ちょっとおこがましいかなとも思ったのですが、この場所にいられる幸せは最良の、最上の、もっともっと上に位置しているのでそんな風にとってもらってもいいと思います。
―――小松さんにとっての「prime」とは何ですか?
小松:primeを「申し分ない」とするなら、このアルバムの完成はホントそんな気持ちでいっぱいです。マスタリングの音チェックをしている段階からもう感動でウルウル。申し分ない幸せの中で活動させてもらっている感謝は言葉になりません。
―――「翼はなくても」を1曲目にもってこられた理由は?
小松:制作メンバーが変わることがあまりなかった環境が一変して、新たなメンバーと再スタートという不安の方が強かった当時のことを思うと、このアルバムの完成自体が涙もの。それからの歩みが7thに繋がっていったこともあって、今ここにいる私たちも「羽ばたくゾ」という決意を表明して1曲目にしました。
―――「ひとは大昔 海に棲んでたから」について。
小松:頭では分かっていても心が言うことをきかないなんてことが続くと、もしかして原因は私にあるのではなくて、何か避けられない力に支配されているからかもとたまに思うことがあって・・・。そしてその原因が大昔の名残なら「もうどうしようもないじゃない」と笑える気もしますしね。
たぶん少し前ならこんな考え方はしなかったと思うのですが、人に弱いところを見せても格好の悪いことじゃないんだと実感できる出来事があってからは、何となく自分の殻を破れたようで、言い訳がましいことも平気になりました。
―――「故郷」について。
小松:私は何度か転校した経験があるので故郷というものの定義がすごく難しいんです。「自分とは?」と考えながら日々過ごしている私にとって、故郷をひとことで表せない歯痒さったらなくって・・・。都会に住んでいる友達にもそれは共通しているらしく「きっと心のよりどころのある場所が故郷になるんだろうね」って話してたことがたぶんずっと頭に残っていて詞に出てきたんだと思います。
―――「東京日和」について。
小松:私にとって東京はなぜか少し物悲しいイメージ。なのでイントロを聴いたときに浮かんできた景色をそのまま描いていったら具体的な地名を並べていたという感じです。でも以前から描きたいテーマではあったのでここで実現できてうれしかったですね。
―――地名を入れると具体的なシーンが見えてくる気がしますが、書いていて違いはありましたか?
小松:具体的に浮かぶ分、表現がかなり制限されて、反対にとても難しいところに足を踏み入れてしまったと作りながらちょっと後悔しましたけど(笑)、当初のイメージ通りに描けてホッとしています。
―――「君のなせるワザ」は小松さんの素直な気持ちとファンへの感謝が込められていると思いましたが、やはり今回、この曲は入れたいと?
小松:はい。最後の曲はどれにしようかと考えているときにこのアレンジを聴かせてもらってコレしかないと思いました。たぶんこのアルバムの中で一番最短でできた作品だと思うのですが、いろんな意味でみなさんには助けてもらいっぱなしです。
―――ファンへの感謝や気持ちはいろんな表現方法があると思いますが、「君のなせるワザ」をラブソングの形にした理由は?
小松:とにかく正直な今の私の気持ちです。感謝を伝えたいと思えば思うほど空回りしてしまって、今度もうまく伝えられている自信はありませんけど、これからもいろいろなカタチで、そして精一杯で伝えていくつもりです。
―――「君」という存在は未歩さんにとって大きいものですか?
小松:そうですね。“君”がいないと“僕”は存在しませんから。なくてはならない存在です。
周りのスタッフさんに恵まれている充実感は作品にかなり表れていると思います。温かみが出るのもいつも支えてくれるスタッフさんの熱意なんですよね。私は「これでいいのか」と自問自答するだけの毎日ですが、その悩みを片っ端から解決してくれるヒーロー顔負けのスタッフパワーはどうしたって音に織り込まれてしまいます。
おかげさまで、想像していた以上の作品になりました。マスタリングされた盤をCDプレイヤーに入れたとたん、音に血が通いだした気がして、フレッシュなまま早くみなさんにお届けしなくちゃと。もうソワソワしています。