小松未歩4 ~A thousand feelings~
こんにちは。新しいアルバムができました。インタビューとかでいろんな人に「より近く感じられるネ。」なんて言ってもらえたり・・・。みなさんにはどんな風に届くのかなぁー?
今までのアルバムは、おもちゃ箱みたいに”いろいろあって楽しいよ”みたいな仕上がりが気に入っていたのですが、今回は1枚のアルバムとして一貫性を持った音作りみたいなところを狙って作っていきました。
こういうアルバムを作ろうってこんなにはっきり決めて取り掛かったのは今回が初めてだったかな。このアルバムの制作を通じて、私の中の新しい私を発見した気がします。”こんな一面があったの!”みたいな感動を味わいました。
いつもは、いろんなジャンルの音に興味を持って、それを自分の曲に取り入れたいと思うタイプなんですけど、今回のアルバムは心を鬼にして”ポップ・サウンドを”って(笑)・・・最初から決めて制作してみました。
たぶんこのアルバム自体が新しい試みだったと思います。毎回のことですが、何か新しい風を・・・と思う方なので。楽しいとき、泣きたいとき、それからたとえ何もない日でも、このアルバムを引っ張り出してきて、心を映してほしいです。
アレンジのほとんどを大賀さんにして頂いたってことが、統一感を出す上での一番の要素になったと思います。それに、今回は結構早い時期からアルバムを見据えて制作に臨んでいたので、アルバムの全体像をちゃんとイメージできていたというか、シングル曲だけが浮いてしまうという、変な力みがなかったというか(笑)。3rdアルバムが終わったころから、意識が全部このアルバムに向かっていたことが、たぶん統一感に結びついたんだと思います。
ホント少し、空想少し、フィクションとノンフィクションを織りまぜてます。でも、マン・ウォッチングは、いろんなところで自然としていますね。
歌詞のテーマを言葉にするなら“私の中にあるもの”と言えますね。現在、過去、未来、空想、願望、夢などなど、すべてを含んだ私です。作曲は、鼻歌をピアノで再現したり・・・曲が先、詞が後ってパターンが主流です。今回はプッツリ作業が止まってしまうことはなかったのですが、煮詰まったときは、あっさり切り上げることにしています(笑)。
詞の内容や流れは、書き終わってみないと自分自身でもどうなるかわからないことが多いんです。あとで誰かに”この詞はこういう意味なんでしょ?”とか聞かれて、初めて“そうかぁ”って思うこともよくありますし・・・(笑)。詞を書くとき大切にしているのはメロディに素直に乗せるということ。最近は、視点が変わってきているせいと思うのですが、自分の中から出てきた言葉に自分で驚いたり、違う一面を発見することもしばしばあります。
―――ヴォーカルがとても印象的で新鮮に仕上がっている気がしましたが?
小松:サウンド面で大きく変化したので、どうしても曲全体の雰囲気とヴォーカルとの相性を合わせたいと思うと、変わらずにはいられなかったのかもしれませんね。今回は歌ったものをもう一度家に持ち帰って、心を鎮めて聴いてみて(笑)、その結果、違和感を感じたら、もう一回歌い直したりとかはしてましたけど。
1枚目、2枚目。3枚目のときと同じように、この4枚目のアルバムも、今だからこそ出来たっていう1枚になったので、この完成に理由はないというか、理屈じゃないって感じです。こういうサウンドは好きですし、好んで聴くポップ色の強い音に近づきたいという気持ちが湧くのは、自然なことかなとも思います。
このアルバムへの気持ちが加速しだしたのは、「君の瞳には映らない」というシングルを作ってる時くらいからです。その頃から迷いがなくなっていった感じ。
―――「君の瞳には映らない」について
小松:アルバムの方向性に少し迷いを感じてたとき、心に響いたこの曲に背中を押された感じがして。タイミングからすべてがアルバムへの指針になったといいますか。
―――「ただ傍にいたいの」について
小松:この曲は何回歌ってもなかなか描いていたイメージに近づけなくて、最終的にはマイクを手に持って歌入れしました。今となっては、出来上がりの感じが一番だと思っていますが、こういう歌い方って思った以上に腹筋がいるんですよね(笑)
やっぱり自分が聴いて、好きって思える音を選んじゃいますね。メロディは心のままに作ってたりしますし。アレンジャーさん曰く「今回はループ探しに時間をかけた」とのこと。そのループとヴォーカルとの調和で、テンポを探していく作業が大変でした。ヴォーカル録音はマイク選びやブースの反響など曲ごとにいろいろ考えてもらい、環境作りの大切さも痛感しました。歌録りの前日はよく寝て、当日はあまりおしゃべりをしない。これも重要なポイントですね(笑)
―――作品に統一感がありながらも、曲はバラエティーに富んでいますが?
小松:意識としては1曲1曲を聴かせたいっていう気持ちが強かったので、どうすればそんな風になるのかなって、曲の並べ方だけで2日ほど悩んでしまいました(笑)。その結果、オリジナルアルバムというより、ベストアルバムの要素が強くなったような気も・・・。 1曲1曲に対する思い入れの強さは、きっとこのアルバムの制作過程が、そうさせているんだと思います。今回は、1曲出来たら、また1曲って感じにひとつひとつ仕上げていった感が強いので、その時々の記憶が鮮明すぎるんでしょうね。
曲順は詞の内容を重視して決めたんですけど、どこから聞いてもらっても心に響くものになってたら嬉しい。それと今回デザイナーさんの提案で、歌詞カードが持ち歩きに便利な豆辞典みたいになっていて、お洒落なんですよ。
―――サブタイトルの「A thousand feelings」にはどういう意味があるんですか?
小松:万感の想いです。このアルバムの音、歌、詞などなど、すべてが私の周りの大切な人達からもらったものなので、この1枚のアルバムにリボンをかけてお届けするつもりで、このタイトルにさせて頂きました。こんな感じに出来上がったのですが、いかがですか?みたいな(笑)、感謝の意も込めて。
このタイトルは、アルバムが全部出来上がってから名づけました。”伝えたいことがたくさんあります”っていう感じだったのですが、どんな言葉を持ってきても陳腐になりそうだったので“A thousand feelings”を込めて、感謝とともに・・・という気持ちでこのタイトルを選びました。
明日もし、私の心が沈みこんでしまったら静かに聴いていたいですし、あさって嬉しいことがあるのなら一緒口ずさみたい・・・そういうアルバムになりました。そう思えるのは今回に限らず、毎回のことなんですけどね。