INTERVIEW


I just wanna hold you tight

”あなた”という優しい響きがいいのでは、との話し合いから作詞を進めていきましたが、曲を作っていたもともとのイメージが決意みたいなことを感じながらでしたので、とても強い一途な思いが表れてしまったようです。


時間が経つにつれ、深みの増してくる柔らかい音を聴いていますと、ベール越しの景色を見ているみたいで、夢と現実の境目が分からなくなってしまいます。


今さらなのですが、どの断片を切り取っても小松だなぁと感じてもらえるヴォーカルに比重を置いて、低く無骨な部分の響くマイクを選びました。


新たなことに挑戦したい気持ちは満々で、今回はそれにプラスさせて“らしさ”みたいなところも意識的に追求していこうと思いながら作品にかかわっていきました。


―――曲作りの段階で何か考えられたことは?

小松:決意とか誓いを表現出来るメロディーにしたくて、荘厳さを感じながら作曲していました。


なんてことのない日常に散りばめられている幸せ。それを感じながらも、なぜか不安な想いを拭えない心の中は、いろいろな想いがせめぎ合っていてホント忙しい・‥。とにかく女の子は厄介な生き物です。


漠然とした言葉では伝わりにくいメロディーラインでしたので、弾みをつける意味でも、ひと言で言い切ってしまえる奇をてらっていない言葉を選んで、流れを出そうと意識していました。


―――“あなたへの一途な思い”の隣には常に“あなたを失ってしまう不安”が伴うものですが、この曲を聴いていると、その先にある希望を信じたくなります。そんな気持ちを小松未歩さん自身はどのように捉え、消化してから歌詞にされたのでしょうか?

小松:たぶん全く消化されていないと思います(笑)。往々にして作品には願望が盛り込まれてしまうものですから、この曲のように自分の精一杯で想いを伝えることが日頃から出来ていれば、作品にはなっていないのかもしれません。

すぐ恋なんてできる

“声を乗せるのがもったいない”と思うくらいステキにたくさんのことを語ってくれるアレンジでしたので、勢いやリズムを壊さないような歌詞乗せにしなければと力が入りまして、特に句読点の場所に四苦八苦しておりました。


作曲していたときの気分がロックでして、私なりのロックを表現してみようと思いながら作っていました。


―――この曲全体で表現したかったことは?

小松:傷付く怖さと、大切な人を失う辛さを天秤にかけている愚かな感情ですね。本当の気持ちに気付けなかったのは、自分にウソを付いてごまかし続けてきた罰。最悪な状況を招いたのも自業自得です。


いつもでしたら音に負けない、強く太く響くマイクを選ぶのですが、アレンジのイメージを壊したくなかったので、高音部分のヴォーカルが沿うような、柔らかく録れるマイクを使用しました。

蒼い夏

夏っぽくしようとは思っていなかったけど、メロディに引っ張られるまま描いていったらキラキラ輝く波に誘われて、というイメージに包まれていました。


恋が始まりそうなドキドキと、夏が近づくワクワクは似ているような...。頭の中にパンッと海・砂浜・水しぶきなどの映像がどんどん展開されていってノリノリの作詞でした。アレンジは、作曲しているときからイメージがはっきりとありまして、結構細かくお伝えしたのですが、私の世界観をはるかに越える仕上がりに“贅沢なシングルにしていただけたなぁ”とスゴク感激しております。


Aメロ部分からハマり込んでしまうほど母音を歌い入れるのが大変で、何度もレコーディングを中断させて冷静に聴き直すという作業をくり返しながら、みっちり歌った作品です。


―――タイトルが、「青い」ではなく「蒼い」にされたところに、この曲で表現したいことが詰め込まれているような気がしますが?

小松:勝手な思い込みですけど、“蒼”は“青”よりフレッシュなイメージなので夏や恋が始まる初感じは私の中で断然“蒼”なんですね。


3人のアレンジャーさんそれぞれのステキな世界観を存分に楽しんで頂ける贅沢な1枚になったなあと素直に感激しております。狭い空間に入り切らない音がひしめき合っているイメージなので、これからのウキウキする季節に飛び出していってくれるとうれしいですね。

SELF LINER NOTES

01.I just wanna hold you tight
温もりのある音に包まれた途端、靄のかかった場所にスリップしてしまった私。夢と現実の区別がつかなくて、これはもしかしてベール越しの景色?なんて... 幸せはやっぱり感じるモノなのでしょうネ。